「ふぅん…違う学校っていうの、きついね。」


「そうなんだ…でもゼミで一緒だから会うことは出来る。」


だから頑張るよ、と爽やかな笑顔で出木杉は言った。
いや、頑張られると困るんだけど。
だって僕、君が好きだし。









恋敵










僕は家に帰ると制服もそのままに寝そべる。


皺になっちゃうかな?なんて頭の片隅では分かってるんだけど
なんだか動く気力がなくて
ただぼーっと天井を見上げてた。



まさかしずかちゃんが僕の恋のライバルになっちゃうなんてなぁ…


しずかちゃんは可愛くて今も大好きだけど
あいつがなんかのろけてると、なんとなくムカってして
彼女のことを嫌いになっちゃいそうになる。




僕って案外心狭いのかも。


「はぁ〜…」


ドラえもんが今もいればなぁ…
秘密道具とかでこう…出木杉の気持ちをどうにか…
なんて駄目に決まってるよなぁ…








憂鬱だ。











「のびちゃん、そんな部屋でごろごろしてるんだったら
お醤油でも買ってきてくれない?」



いつのまに二階まできたのかママが僕を見下ろしながら
そんなことを言った。


「え〜…」

「はい、お金。」




息子がこんなに悩んでいるってのに、
薄情だなぁ!





そんな文句を心の中で言いながら
とりあえずポケットに貰ったお金を突っ込んで
部屋を出た。





next