間違っても選び続ける












「出木杉くん、あの…ちょっといいかな?」





ああ、めんどくさい。

今、クラスのアンケートの集計をしているの見えないのかな?
なんて思いながらも…






「なんだい?」


なんて仮面にへばり付いたような笑顔で答える。
自分でいうのもなんだけど、よくもここまで心と体が別に動くもんだ。
声を掛けてきた女の子に見えないように小さくため息を付きながら
ぼんやりと考える。











「ちょっと…」とそのまま、
人気のない、科学室の前の廊下に呼び出される。


薬品の匂いとかの独特のにおいに顔をしかめながらも
仕方なく彼女についていった。

彼女の真後ろを歩きながら、
確かこのコ、隣のクラスの…
こないだのび太くんが可愛いとか言ってたような…
なんて思い出し、少し胸をじりじりと焦がす。


こんなコよりもよっぽど君の方が可愛いのに


思わず、口に出してしまった言葉。

彼はその言葉を聞いた途端、
耳まで顔を真っ赤にして「からかわないでよっ」って言ってたな。





「あの…」



彼女の言葉で我に返る。
そういえば僕、このコに呼び出されてたんだっけ。
いけない、いけない。





「何?」





      
     ・
     ・
     ・














予想通り、彼女からの告白だった。

丁重にお断りさせてもらったけど。
だって、彼以外に興味なんてないからね。



断るのってめんどくさい。
こんなこと言ったら学校の男共に殺されそうだけど。
でも僕は彼以外好きじゃないから。


いっそ公言してしまおうか、

僕は彼が好きなんだって

校内放送でも使ってさ。



そんなことをしたら彼はどうするだろう。
また顔を真っ赤にするだろうか。
それとも怒るだろうか。






ああ、アンケートの続きをやらないと…
今日も君と帰るために放課後まで持ち越したくないからね。












黒デキさまです。