どうしてかわからないけど
少し、ほんの少しだけど
僕は怖くて、怖くなって
前を・・・・出木杉から目を逸らした。
君の好きな人3
しばらくしてからふぅん、と出木杉は言う。
その声は少しいつも聞いている優しげな声とは違い
少し低く、冷たい印象を受ける声だった。
「あの、で、出木杉の・・・好きな人って・・・誰?」
この妙な圧迫感に耐え切れなくなって僕は思いついたことを
とりあえず言葉にしてみる。
口に出してから少し後悔したけど・・・
早く終わらせたかった。
もう早く帰りたかった。
出木杉をちらりと盗み見ると
なにか考えているような、少し困った顔・・・をして少し窓の方に視線を向けていた。
「・・・僕の好きな人はね、とても鈍感で・・・そしてとても優しい人だよ。
そして 君 で は な い 、
それ以上は自分で考えてってその子に伝えて。」