待ちに待った勉強会…




嘘です。
待ってない、ちっとも、待ってない。


計画的なしずかちゃんと出木杉はあれよあれよと言う間に
日にちや時間、場所等を二人で決めて
半ば強制的に約束をされて、



そして今、今日の勉強会の場所
出木杉の家の前だったりするわけで…。
憂鬱だよ。
…はぁ、ただ単に出木杉の家に遊びに行くんならうれしいのにな。





「はぁ…」


今日何度目かのため息を吐きながら
僕は逃げたしたい気分で一杯だった。
だけど、ここまで来てしまった訳だし…
今更逃げるわけにもいかない。


「よしっ!」

なんとなく気合を入れて
僕はインターフォンを押した。


―――ピーンポーン…。




『はい。』

「あ、あの、出木杉くんの友達の野比のび太ですが…」

うわー、声が裏返った…。
出木杉の家なんて好きって自覚してから
一度も来た事なかったもんなぁ…。
心臓がバクバクする。


『ああ、ちょっと待ってて』

「は、はひ…。」


はぁ…ドア越しでこんな状態でどうするんだ。僕…。
すーはーすーはーと深呼吸して
必死に落ち着こうとした。



(―――落ち着くおまじない…
手の平に人を書いて…あれ、何回書くんだっけ?
5回?もっと多いほうがいいのかなぁ。)



そんなことをしながら
しばらく待っていると、ドアがかちゃりと開いて…。







「のび太くん、いらっしゃい。」



出木杉が笑顔で迎え入れてくれた。
久しぶりに見た出木杉の私服…。
あ、なんかまたドキドキしてきた。


「早かったね、まだしずかちゃんは来てないんだ。」
「そ、そーなんだ。」


しずかちゃんまだ、なんだ。
良かったような…悪かったような…。


「ほら、入って。
僕の部屋…分かるよね?
飲み物用意するから、先にいっててよ。」

「あ、うん。」


差し出されたスリッパを履いて、
僕は足取り重く階段を上った。




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