変な子…・






恋敵6









彼女は僕と目が会うと、
より一層笑みを浮かべた。




そうして真っ白いノートを僕の傍に置いて
(この子もノートに一切取ってないみたい…お仲間のようだ。)


“喋ると先生に怒られちゃうから、筆談でね。”


と可愛い、女の子らしい文字を書いてみせた。


僕は戸惑いながらも
この暇な時間をちょっとでも潰せるだろうと軽い気持ちで
ペンを走らせた。

“君誰?”


僕が返事を書くと、小さく声を殺しながら笑って




“私の名前は日高さゆ。さゆりんって呼んでね。”

“ヤダよ。”

“アンタの名前は?”

“のびた。”

“変な名前ー。”

“君も変じゃないか。”

“えーさゆりんショック。”


思わずククっと声に出して笑ってしまった。
先生にジロリと睨みつけられる。
僕も彼女…日高さゆもビクっと姿勢を正してノートを取るフリをした。
先生も僕たちに構うより、今日の授業ノルマをクリアしたいのか
教室を見回した後、すぐに黒板に向かった。


先生の視線が別の場所に移ると、
また再び暇つぶしの筆談が始まる。



“びびったー”

“もう変なことかかないでよね。”

“のびくんこそ、もう笑わないでよね!”

“あのなー…”




結局その授業の間中ずっとそんな調子で僕たちは遊んでいた。

出木杉に今日の授業難しかったね、などと言われて
すこし困ったりなんかもしたけど…。



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