もちまわり劇場「白雪姫――その後A」



このお話は白雪姫がとっくに幸せになったあとのお話。




「酔ってるね?女王様。」


「酔ってませんよ、金田一君。」


顔も赤くなってないし、呂律もちゃんと回ってる。
だけど煌びやかなドレスがとてつもなく酒臭い。
しかも俺のことを鏡ではなく本来の名前で呼ぶのがなによりもの証拠だ。

(この人がこんなに飲むなんて珍しいな)


何かあったんだろうか?
本来この人は自分の範囲を知っている。
それ以上に飲むなんて絶対なにかあったにちがいない。

でもこの人は話したりしないんだろうよ。
―――別に聞いてやる気もないけどさ。




「…っておい、もう寝たのかよ。明智さん。」



気が付けば俺を悩ましているその人は
ソファーに座ってやすらかな寝息をたてていた。


「たっく、風邪引いてもしらないからなっ。」



俺は鏡だから、ブランケットすらかけてやれない。




分かってるのか?なぁ




明智さん。