君と僕と




昔、まだドラえもんと出会わなかった頃の事。
僕は昔から苛められていて
泣きむしで弱っちくて


「おやおや・・・どうしたんだい?その怪我。」
僕のおばあちゃんはとっても優しくてあたたかい人。
僕はおばあちゃんの事が大好きだった。
そんなおばあちゃんに心配なんかかけたくなくて・・・

「ううん。僕ドジだからころんじゃったんだ。なんでもないよ。」
「本当かい?」
心配そうに俯いている僕の顔を覗きこんでくるおばあちゃん。
そんなおばあちゃんの顔を見ると思わず泣きたくなってくる。
でも・・・。

「だいじょうぶだよ。」
僕は笑ってみせる。
大丈夫だ。まだまだ頑張れる。








「のびたのくせに生意気だ!」
僕は今日も苛められていた。
理由はたいした事じゃない。

今日ぼくはあやとりで先生に褒められた。
いつもおばあちゃんに教えてもらっていたあやとりで褒められて僕は有頂天だった。
それがいじめっ子には気に食わなかったらしい。

「やめてよぅ・・・うぇぇん」
僕は弱いからついには泣きだしてしまった。


誰か助けて・・・!!

そんなときだった。
「なにしてるんだ!やめなよ!」
後ろから声がした。
振り向くとその子は全然しらない子で多分違う幼稚園の子だと思う。
制服も上等な生地で出来ていて、かばんもエナメルのつやつやしたかばんだった。
多分、僕の行っている幼稚園より、うんとお金持ちの学校だと思う。

次の瞬間その子はいじめっ子に飛び掛っていった。 




「ふぅ・・・大丈夫?」
その子は僕と体格が同じ位なのに、あっという間にいじめっ子を倒してしまった。

―――あっ・・・。

僕は気付く、彼の洋服やかばんが泥だらけになってしまってる事に。

「ごめんね!ごめんね!服汚れちゃったね!」
僕はポロポロと涙をこぼす。
彼はそんな僕をよしよしと撫でてくれた。
その暖かい手はまるでおばあちゃんの優しい手のようで
泣きやむつもりが、ますます涙が溢れてしまう。


そんな涙でびしょびしょな僕の頬に優しく何かが触れた。
なんだろう?と不思議に思って彼を見ると少し照れたような顔で僕に微笑んでいる。





「ありがとう。」
別れ際、やっと落ち着いた僕はペコリと頭を下げてお礼を言った。
「ううん。大丈夫だよ。・・・それじゃあね。」
「あ、えっと名前!名前教えてくれないかな?」
僕はその子と友達になりたくて勇気を振り絞って聞いてみる。
その子は目を一瞬大きくして、そして微笑んで答えてくれた。

「僕の名前は・・・――――。」







「のびちゃーん!朝よ!起きなさい!」

「ふぁ??!」
朝だ・・・。
ママの大きな叫び声がする。
あれ?僕はなんの夢を見ていたっけ?
なんかとても良い夢だった気がするんだけど。




ま、いっか。




















夢のお話です。
幼い頃の夢のお話。