グレープフルーツ




「ねぇのび太さん。」

昼休み。
給食を終えてちょっと眠たげに顔を伏せていた僕に
声をかけてきたのは、僕の大、大、大、大、大好きなしずかちゃんだった。
「なぁに?しずかちゃん」
僕は思わず嬉しそうに顔をあげる。
「心理テストやらない?」

そう。今僕のクラスでは心理テストが流行ってる。
僕はそういうのに余り興味がないんだけど・・・。
でもしずかちゃんがそう言うなら・・・
「うん。いいよ!」
僕がそういうとしずかちゃんは嬉しそうに笑った。
可愛いなぁ・・・。

「じゃあ、問題を出すわね。
いちご。りんご。パイナップル。グレープフルーツがあります。
それぞれの果物を身近な人に例えて下さい。」
心理テストを片手にしずかちゃんは言った。
なんだか内容が算数の問題みたいだ。
いけない。ちゃんと答えを考えなきゃ。

いちご・・・は、うーん可愛いしずかちゃんのイメージだなぁ。
うん。ぴったりだ。

りんご・・・はなんとなくスネオ。

パイナップルは・・・間違えなくジャイアンだ。
形といい・・・。なんかそんな感じ。

グレープフルーツ・・・。
・・・。誰だろう・・・。

そういえば小さい頃、
ママが出かけた時にグレープフルーツを見つけて
とても良い匂いがしたから黙って食べてみたら
とっても酸っぱくて泣いたような気がする。
今でもあんまり好きじゃない。
あんなに良い匂いがするのに・・・美味しくないなんて
騙された気がするから。

そんな事を考えてると何故か出木杉が浮かんだ。
そうだ。出木杉がぴったりかも・・・。
外側はとても誰にでも優しくしてて、いいイメージだけど
なんとなく時々怖い・・・から。

「決まったよ!しずかちゃん!」
「そう。じゃぁ答え合わせね。
実はこの心理テストは、『心の奥底で想っている本当の相手への気持ち』
なの。」
「へぇー。」
んじゃいちごのしずかちゃんは『僕の好きな人』かなぁ。
「まずいちご・・・。これは『好きな友達』よ。」
うんうん。やっぱり!
「りんご・・・は『どこか憎めない人』」
確かに・・・そうかもしれない。
「パイナップルは『一番恐怖を 与える人間』」
当たってるよー!うひゃー・・・凄いな。コレ。
「最後にグレープフルーツは・・・『一番心の中を占めている人』」
「???どういう意味?」
意味が分からないよ。シメテイル?ってどういう事?
「それはね。一番常に考えるというか・・・常に想っている人。
ある意味好きな人より大きい存在ってことかしらね。」
しずかちゃんは笑って答えた。

ようやく意味するところが分かった僕は大混乱。
なんで?なんでよりによって出来杉がそんな存在なの?
僕はしずかちゃんが一番。
だれよりも優しくて、可愛くて。

しずかちゃんが一番なのに。
そんな心理テスト信じない。
所詮心理テストじゃないか。
と僕がグルグルしていると、

「しずかちゃん」

後ろから出木杉の声が聞こえた。
「うわぁぁっ!」
あまりのタイミングだったので僕は思わず変な声を出してしまった。
しずかちゃんも出木杉も驚いてる。
僕はもう恥ずかしくて、居た堪れなくて
なにより、今出木杉のそばにいるのがイヤで。
思わず教室を飛び出した。

2人が引きとめる声と
「野比!廊下を走るな」という先生の声を
遠くに聞きながら・・・。













「触れる」に続く









デキノビなのに出来杉がでてない確率90パーセント。
というかこりゃノビ→シズ?


ご指摘いただきました―――!
最後の心を占める人もパイナップルになってる
本当にありがとう御座います!