素直な気持ち 5








次の日、出木杉は僕に話しかけてこなくなった。
僕と目すらあわせようとしなくなったんだ。


いつまでたっても答えを出そうとしない自分を
出木杉は嫌いになってしまったんだろうか?

なんて…
出木杉のことを考えるとネガティブになってしまう
一昨日より昨日より、ずっと出木杉のことばかり考えてしまう。









「野比、何ぼーっとしてんだよ、次体育だぜ?
早く着替えないと。」

いつのまにか授業は終っていたらしい。
いつまでも動かない僕を友人が変に思ったらしく
教えてくれた。

のろのろと着替えはじめながら
出木杉の姿を追う
でももうそこには出木杉の姿はなかった。


頭が痛い…

僕はふらふらする頭を抑えながら、よろよろと教室をでた。
昨日そういえばあんまり眠れなかったななんて頭のどこかで考えながら


チャイムが鳴り、さすがに遅刻はまずいと思った僕は
運動場へと走り出したが
いきなり走り出したのが悪かったのか
ガクンと体が傾くのを感じた。




「のびた!」

遠くの方から出木杉が僕を呼ぶ声がする…。
幻聴まで聞くなんて、僕はかなり重症らしい…









そんなことを考えながら


そのまま意識を手放した。







next