――・・・オドオドしてて頼りないんだもん。

―――・・・好きとか言われても無理ー。










恋の終わり











僕の恋の終わりは、本当に・・・本当に突然だった。


「野比くんって〜、絶対アンタの事好きだって〜。」

彼女の友人のこの一言がきっかけ。
二人にとっては他愛もない日常茶飯事の会話だったのだろう。
でも僕にとってはずっと秘めていた気持ち・・・、
それを人づてに言われたのはショックだった。

気がつけば僕はそっと近づき、聞き耳をたてていた。
本当は、立ち聞きなんて悪い事だって僕にも十二分に分かってる。
・・・けど、所詮弱虫で度胸のない僕は告白なんて大それた事なんて出来るのか分からないし・・・。


さらに彼女が思わぬ告白を受けて(人づてだけど・・・)どんな顔をしているのか気になって身をのりだす。決して見えないように・・・。

驚いているだろうか?

それとも困惑しているだろうか?

しかし彼女の表情は僕の位置から見れば逆光でよく見えず、
ただ長くて綺麗な髪をかきあげる仕草しか見えなかった。


仕方なく、僕はまた聞き耳をたてる事に集中した。
・・・う〜ん、本当にごめんなさい!っと彼女に心の中で何度も土下座しながら

そして、待ちに待った答えは、

「―――・・・え〜・・・でも無理。だって野比くんってさぁ、オドオドしてて頼りないじゃない?」

「やっぱりさ〜田中くんとか出木杉くんぐらいカッコよくて、しっかりしてる人がいいもん。」

「はっきりいって・・野比くんなんて無・理!」

だった。
きゃはは・・・と女の子特有の笑い声が遠くの方で聞こえる。
僕はといえば、その一言を何度も反復しては途方に暮れ・・・、
俯いてしまいそうになるが、俯いてしまえば涙をこらえる事なんて出来そうにもなくて、
少し上を向いてた。




「のび太くん?どうしたの・・・?そんなところで突っ立って・・・」

―――ドキィッ!!!


突然、背後から声を掛けられ僕は心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
・・・おそるおそる振り返ってみれば・・・

「な、なんだ〜、出木杉かぁ・・・」

一気に張り詰めた緊張を解き、ふぅっと息を吐いて安堵する。
ビックリしたじゃないか。全く。
少し、恨めしげに下から睨むように出木杉を睨む。

「別に・・・なんでもないよ。」

「そう?あっ、もうずぐチャイムなっちゃうよ。早く急がなきゃ」

でも僕の睨みなんて出木杉なんかに効くはずもなく・・・
ね、なんて言って、気安く肩に手をポンっと当てながら
にこやかに背中を押した。





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