こんなにもそばに 1
授業中、だれもいない裏庭で…
ひとしきり笑いあってから出木杉はこう言った。
「実はね、こうなる事はなんとなく分かってたんだ。」
僕はえ?と聞き返すと、出木杉は肩をすくめた。
「昨日、君の話を聞いて…多分、今日学校に行けばあの子と君がってね。
でも・・・まさか泣いているとは思わなかったけど。
…ごめんね。」
そういうと出木杉は僕の目元に優しく、慰めるように触れた。
僕はよく理解できなくて、出木杉を見つめる。
どういうこと?…もうちょっと簡単に説明してほしい。
「で、出木杉?」
「だからね、昨日…ああいう風に伝えてって言えば多分、彼女は君を怒るだろうな
って思ったんだ。」
は?
え?え?とますます僕は分からなくなった。
もしかして、昨日のこと実は出木杉は凄く怒っていて
だから彼女をわざと怒らせるようなことを言った?
つまり…
「つまり…僕を困らせるため…ってこと?」
「うん。」
「…ぼ、僕のことそんなにむかついたの?」
恐る恐る僕は確信をつく。
出来杉はそんな僕を見てまた一段と優しく笑った。
「そうだけど、でも君の考えてる理由とは違うと思うよ。」
なんで怒ったか分かるかい?と僕にまた聞いてきた。
…そんなことわかるわけないじゃないか。
僕は少し恨めしそうに出来杉をみて左右に首をふる。
「・・・それはね。」