弱虫





翌日、僕は本当に気が重かった。

何故なら、彼女に出木杉の気持ちを伝えなきゃいけないから。
出木杉は他に好きな人がいる事。

そしてそれは君じゃないって事。


それを聞いたら彼女はどんな顔をするんだろ。
悲しむだろうか。
怒るだろうか。
泣くだろうか。








「野比くん、で・・・昨日聞いてくれたのよね?」

学校につくと彼女はすぐに僕のもとへ駆け寄ってきた。
う、うんと小さく返事をする。
彼女は少しうれしそうな顔をすると身を乗り出して

「で?どうだったの?ちゃんとアピールできた?」

「出木杉の好きな人って誰?」

「ね、どうなの?はっきり言ってよ。」

と息つく暇もないくらい問いただした。

僕は彼女の目を見ていられなくて顔を少し伏せながら
上手く回らない舌でなんとか彼女に伝える。

「う、うん、でも・・・さ、出木杉には別に好きな人・・・がいるみたいなんだ。」





彼女の表情が変わった。


「どういうこと?」



「出木杉が言ってたんだけど・・・好きな人はいる・・・けど貴女じゃないって」

本当に見る目がないよ・・・と言葉を続けようとしたら
彼女はその言葉を遮るように叫びだした。

「わ、私はアピールしてって言ったのよっ!
さりげなく、なんでそんなっ・・・ひどいっ。
私が出木杉くんを好きって事どうしてバラしてんのよ・・・
 最 低 !!」

といってその場で泣き出した。








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